参考資料 (第五回) - 1/f ゆらぎ


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【解説】


まずはこの絵の赤色の線に注目していただきましょう。何だか複雑な波形です。でも、自然界にはもっと複雑で変な波形もいっぱい存在します。え?波形ってなにかって? 音でも、光でも、空間のパターンでも何でもいいのですが、周期的な変動をするもののことです。グラフの横軸に時系列なり、位置系列なりをとり、そのときの値(強さ、高さ、ずれなど)を縦軸にとると波形ができあがるのです。

実はこの波形、沢山ある青色の線を足し算したものなのです。逆に言えば、すべての波形は複数のサイン曲線に分解することができるのです。その分解の方法を提供するのが『フーリエ変換』なのです。ここでの目的は 1/f ゆらぎ について思うところを述べることですので、その詳しい方法については触れません。

これは、上のグラフを描くときに用いた数式です。赤色の文字赤色のグラフを、青色の文字青色のグラフをそれぞれ表しています。要は、周波数の違うサイン曲線に適当な係数をかけて足し合わせているだけです。恐くはありません。

「sin」というキーワードの後ろにある部分が周波数です。例えば、「i=0」のとき、「1x」で、グラフでは「-π≦x≦π」の範囲を描いてあるのですが、この変化が一秒間に起こったとすると、「1Hz」となるわけです。同様に、「i=5」のときは「32Hz」、「i=10」のときは「1024Hz」となります。

「sin」というキーワードの前にある部分(係数)がその周波数成分の強さです。ここでは、1/f ゆらぎ にするために、意図的に係数を調整してありますが、普通の分解ではこのようなきれいな値にはなりません。

さて、では周波数を横軸に、その時の成分の強さを縦軸にとってグラフを描いてみましょう。但し、軸は対数(LOG)にしてあります。


赤色の点を結んだの傾きは?そう -1です。先ほど対数で描いていると言いましたよね? -1*log(f) という式を元に戻すと 1/f。はい、1/f というキーワードが出てきました。

つまり、波形を分解して各周波数成分を対数軸にプロットしたときにその傾きが -1 で近似できる波形のことを 1/f ゆらぎ と言うのです。



【考察】

皆さんはもうお気づきかと思いますが、分析した結果は、傾きが -1.76 や -2 のように傾斜がきつくなる場合もあるし、-0.25 や -0.001 のように傾斜がゆるくなる場合もあります。

一般に、傾斜がきつくなればなるほど、突発的な変化が抑制されて大きな変化が支配するようになりますから、次を予測しやすい波形になります。それに対して、傾斜が緩やかになればなるほど、突発的な変化が頻発しますから、次を予測しにくい波形になります。そして、傾きが0 になると、ホワイトノイズになります。

つまり、傾き -1、即ち 1/f ゆらぎ の状態では、適度な予測性と適度な逸脱性が共存していると考えることができるのです。自然界にはこの 1/f ゆらぎ になるような波形があふれています。我々人間も自然の一部として、この波形に親しんでいるせいか、海や山で小波や木々の葉がそよぐ音を聞くと、不思議と落ち着くんですよね。

注意:人が心地よいと感じる音を分析すると 1/f になっていることが多いのですが、すべての 1/f が人にとって心地よいと感じるわけではないので、その他にも人を「気持ちいい」と感じさせる要因はまだまだ沢山あると思われます。